ICTの目

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中国VPN規制の行方

VPNサービスを提供するGreenVPNが、7/1からサービスを停止した。

監督官庁から通知を受けた」としているらしいが、中国政府によるインターネット閲覧の規制強化の見せしめである事は疑いようのない事実。

Bloombergの報道によると、中国政府は通信事業者各社に対して、VPN接続の規制を強化するように要請したらしい。

www.bloomberg.co.jp

これにより、2018.2.1までに、当局が未認可のVPNサービスは、グレートファイアウォールにより順次ブロックされる可能性が高い。

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≪≪企業のリスク≫≫

国外の(中国にとって)有害なサイトとの接続をサービス化している「違法なVPN業者」に対する取り締まりが目的とは言え、通信を遮断する方法によっては、適正な事業者のサービスにも影響を及ぼすリスクはある。

通信が自由な通常の国での感覚では、VPNと言えば、事業拠点間を固定的に接続する時や、「リモートアクセス」時のセキュリティ強度を高める為に用いられる技術というイメージなのだが、こと中国に於いては、何かと規制の厳しい国内網から逃れ、安全/自由な海外事業者を中継して規制対象サイトへアクセスする為に用いられる。

(一般的には『内を固める』のが目的だが、中国では『外へ安全に逃げる』用途に使われる)

 

例えば自営でVPN-GWを稼働させている企業の場合、通常は中国電信当局への認可申請など行なわないであろうから、China Mobile(中国移動通信)、China Unicom(中国聯通)、China Telecom(中国電信)などのFW設定により、運悪くVPN通信を遮断される可能性だってある。

通信事業者の国内VPNサービスを使ったところで、中国当局未認可のインターネットVPNサービスである事は、自営VPN-GWと同じだ。

認可済み国際VPNサービスを利用し、中国国内は当該国際VPNサービスのアクセスポイントまで専用線接続すれば、(金盾を迂回するので)問題なく全てのサイトへアクセス出来るが、コストが馬鹿にならない。

 

国内キャリアの海外担当者とも相談したが、2018.2.1までは違法VPN事業者のみが規制対象に絞られるであろうから、当面 早急な対応は不要だと考えられるとの事だった。

ただ、2018.2の規制強化の対応で、当局がVPN接続の実態を新たに把握する事項も多々あるだろうから、次のフェーズとして、正規VPN事業者への規制が強化される可能性は残る。